ものづくりの人

つり堀亭にしむら

大阪府吹田市から山口県下関市まで続く中国自動車道、
この道中で最も標高の高い最高地点721mの道路下に池が点々と広がります。
ここが"つり堀亭にしむら"、養殖をされている西村一彦さんにお話し伺ってきました。

sakana 2.jpg
イワナとアナゴ

西村さんのお父様が始められた"つり堀亭にしむら"。今から22年前、西村さんは結婚をきっかけに戻ってきました。

ここではイワナとアマゴを養殖しています。養殖用に21の池を持ち、そのうちの5つで釣り堀を楽しむことができます。
広島市街地を流れる太田川の源流部分にあり、清流に沿うように池が並びます。
川魚は水の流れが止まると弱ってしまうそう、流れ続けるきれいな水が何よりも大切なのだとか。
標高が高いこの地は夏でも涼しく、冬には雪に覆われ氷点下となります。

養殖しているイワナやアマゴの産卵は秋、そこから卵をふ化させ育て、その後もそれぞれの成長に伴い池に移し替えて育てていきます。
「養殖は自然相手の仕事。勝てん相手とどう付き合っていくのか。」
夏場の水量が減った時や、台風、落ち葉が多く流れを妨げるような時は池の見回りを3時間おきの24時間体制で行うのだそうです。

「もともと釣りがすきだったからね。」
苦労談を聴いた後に西村さんはさっぱりそう付け加えた。

nisimura6.jpg
nisimura7.jpg
時期によっては芝桜や水仙に包まれる 池のすぐ横を流れる小川

「釣り堀というと釣りやすいと思われることが多いのですが、実は川魚は警戒心がとても強く。さらに、釣り堀の魚は"釣られる"ということを知っています。そこでお客さんに釣り方をレクチャーする。みんな少しずつわかってくる、この時が楽しい。来た人がたのしかったという感覚を持って帰れるような場にしたい。そしてそれを思い出してまた来てほしい。」

nisimura10.jpg
西村さんは食堂が忙しくないときは釣り堀に出てお客さんに声をかけて回っている。

nisimura8.jpg nisimura9.jpg

川魚は鮮度が落ちやすく、川魚がくさいと思われているのはこのためなのだそう。だからなにより早く食べることで本来の味が現れる。
「私たちは専門的に料理の勉強をしたわけではない、食堂で出す料理はとにかくシンプル。だからこそ活きの良さを何よりも大切にしている。」

西村さんは釣り堀を利用した方には平日でも食堂を空けて自ら料理を提供される。
イワナとアマゴはどちらも骨が柔らかく食べやすい。

食べ方は刺身に塩焼き、から揚げ、南蛮漬け、てんぷらの5通りで1匹ずつでも調理を分けてくれるのは、とにかく楽しんでもらいたいという西村さんの心意気。

nisimura11.jpg

西村さん自ら調理してくださいます。

個人的に私が食べていただきたいのがイワナとアマゴの塩焼きだ。
もともと魚に詳しくない私にとってこの食べ比べは衝撃的だった。私は塩焼きならアマゴの方が好きだ。こうやって自分の好きな味を探すのは楽しい。
そしてイワナは何と言っても刺身。これは出された瞬間に食べてほしい、時間が経つにつれて味が変わってしまう。出された瞬間のぷりぷりの食感をぜひとも味わっていただきたい。何よりも自分が頑張って釣った魚を目の前で料理してくれる、これほどの贅沢はないでしょう!

nissimura13.jpg
出来立ての料理が並びます。
nisimura12.jpg
カメラを照れて嫌がる西村一彦さんと、そんな西村さんを茶化すおちゃめな奥さんの智恵さん。

「お客様の釣れた時の歓喜の声、釣れるようになった時や自分で魚の針が外せるようになった時の笑顔。料理を出された時のお客様の歓声、料理を食べた時の笑顔や美味しいという一言が私たちの喜びであり、魚を育てる原動力となる。『釣って楽しい、食べておいしいつり堀亭にしむら』をモットーにこれからも美味しい魚を育てて、提供していきたい」

IMG_8167.JPG

Soy-Italian 「イワナのフリット」

つり掘り亭にしむらのイワナとイシカワの大豆を使ったコラボレーション料理 

協力 Trattoria Ruzzo

レシピはクックパッド

作っているのはこの会社!

つり堀亭にしむら
住所
広島県廿日市市吉和12-176 マップ
TEL
0829-77-2525、または0829-77-2401
営業時間
つり堀:8:30~17:00(11月から3月までは9:00~16:00)
食 堂:10:30~17:00(11月から3月までは11:00~16:00)
サイト
https://www.facebook.com/turiboritei/